税金を支払ったときの仕訳

個人事業主の税金の種類

個人事業主が支払う税金のうち、経費として認められるものを租税公課という科目で仕訳します。また、税金ではないが租税公課として計上できるものも有ります。一方、個人事業主が支払う所得税や住民税は租税公課とは言いません。なお、事業と個人が併用しているものに掛かる税金は事業に掛かる割合しか経費としては認められません。

経費として認められるものは、消費税、個人事業税、印紙税及び条件によって償却資産と見なされる場合の固定資産税です。併用しているものに掛かる税金としては、土地・建物に掛かる固定資産税、自動車税等が有ります。

税金ではないが、租税公課として認められるものに、同業者組合費、商工会議所会費、青色申告会会費等の関係団体費が有ります。
所得税、住民税及び社会保険料は経費として認められていません。

事業経費の税金を支払ったときの仕訳

現金で支払った場合

一般に税金の支払いは、印紙税を除けば納付書が送付されてきますので、銀行・郵便局及びコンビニで支払いします。

勘定科目 支払先 摘要 金額
租税公課  東京都  個人事業税支払い 50,000円

事業主が支払うべき税金を支払った場合

所得税等を現金で支払った場合

事業主が個人の立場で支払うべき、所得税、住民税及び国民年金や国民健康保険料を事業資金から支払った場合は次の通りの仕訳して起票します。

勘定科目 支払先 摘要 金額
事業主貸  ○○市  住民税支払い 10,000円

所得税を口座振替で支払った場合は、「現金」を「普通預金」で仕訳します。

事業と個人用に共用している場合の仕訳

不動産や自動車を業務用とプライベート用に共用している場合は、使用割合に応じて経費として計上できる分と事業主に負担して貰う部分を案分します。
自動車税10万円を、事業用使用割合70%、プライベート使用割合30%として計算します。

全額を事業用資金で支払った場合

10万円を事業用資金で全額支払って、個人としては支払わなかった場合の仕訳です。

事業用使用割合相当分の出金伝票

勘定科目 支払先 摘要 金額
租税公課  国税庁  自動車税・重量税 70,000円

事業主負担割合分の出金伝票

勘定科目 支払先 摘要 金額
事業主貸 国税庁 事業主分  自動車税・重量税 30,000円

事業主が事業主個人の資金から立替て支払った場合

金額 借方科目 摘要 貸方科目 金額
70,000円 租税公課 自動車税・重量税支払 事業主借 70,000円
70,000円 合計 70,000円

事業用割合部分だけを事業用資金で支払った場合

10万円の内事業用使用割合相当の7万円を事業用資金から支払い、個人利用割合相当の3万円は事業主個人の資金から支払った場合の仕訳例です。

勘定科目 支払先 摘要 金額
租税公課  国税庁  自動車税・重量税 70,000円

自動車購入や車検時に支払う自賠責保険料の勘定科目は、保険料ですので分離して下さい。

印紙税の仕訳

印紙税に該当するものは、収入印紙、登記印紙及び都道府県が発行する証紙等があり、課税文書への貼付や手数料として納付する際に使用します。印紙税は原則としては「租税公課」ですが、長期間で使用するものを一括で購入した場合や期末に在庫が有る場合は別途仕訳が必要になります。

購入しすぐに使用する場合

契約書や領収書に貼付するために購入した場合は、租税公課として仕訳します。

勘定科目 支払先 摘要 金額
租税公課  東京中央郵便局  印紙購入 10,000円

但し、短期で使用する予定が都合で使用しなくなり、期末に在庫が残った場合は、資産として計上しないといけませんので期末に「貯蔵品」に振替えます。なお、高額印紙は使用する機会が少ないので、残った場合は郵便局で定額印紙に交換した方が使途は広がります。

金額 借方科目 摘要 貸方科目 金額
6,000円 貯蔵品  印紙未使用分 租税公課 6,000円
 6,000円 合計  6,000円

必要に応じて使用するために購入した場合

勘定科目 支払先 摘要 金額
貯蔵品  東京中央郵便局  印紙購入 10,000円

この場合は、使用する都度「租税公課」として経費に計上しますが、期末処理は必要ありません。なお、印紙は額面毎に台帳を作成し管理することが望まれます。

金額 借方科目 摘要 貸方科目 金額
4,000円 租税公課 信用金庫取引約定書貼付 貯蔵品 4,000円
4,000円 合計 4,000円